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コラム「ERP再生計画」第三回「次世代ERPに求められる構成とERPを補完する最新ソリューション」 著:鍋野敬一郎

はじめに

前回はレガシー化してしまった旧型ERPの問題点について整理しました。
①会計メインのERPでは複雑化する企業グループのガバナンスを管理しきれないこと、②激変するビジネス環境で柔軟性と拡張性に乏しいERPは足枷になること、③IoT時代となりSoRとSoEの両方に対応できないERPは成長戦略を支えられないことの3つがその問題点です。

さて今回は、次世代ERPに求められる構成とERPを補完するツールについてご紹介したいと思います。

次世代ERPに求められるニーズを洗い出す、2階層ERPという考え方

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次世代ERPのニーズを見極めるまえに、これからのビジネス環境や事業活動の変化について10年先を想定したいと思います。
というのも、ERPなど基幹システムを再構築するときに経営企画部門が起案する場合と、情報システム部門が起案する場合では大きな違いが出るためです。
その違いとは、経営企画部門は未来を想定した仕組みの実現を目指すのに対して、情報システム部門は現在・過去に重点の置いた仕組みにこだわるためです。
どちらの視点も大切ですが、企業は成長しなければならないので未来を想定する方が重要だと言えます。
しかし、情報システム部門は中長期計画を策定するわけでもなく、中計(中期事業計画に対応したIT投資の中計)も持たない企業も多く、情報システム部門が主導する基幹システムの再構築は保守的な内容になりがちだからです。

業界によって多少違うかもしれませんが、今後のビジネス環境はさらに激変すると予想されます。
企業は国内海外で複数の業界・市場へ素早く展開するため機動力と俊敏性が求められます。1社で全てを網羅するやり方では先行企業の後塵を拝することになるため、今後は目的を共有できるパートナー企業とアライアンスを組むやり方が主流となるでしょう(これを欧米ではエコシステムと呼びます)。
ドイツが主導するインダストリー4.0や米国GE社がすすめる産業向けIoT(インダストリアル・インターネット・コンソーシアム:IIC)では、こうしたアライアンスによるエコシステム(産官学などによる協力体制)が市場を牽引しつつあります。
つまりこれからの企業は業界や市場ごとに企業アライアンスを組んで事業活動を行う事業会社(子会社、関連会社)と、これを束ねる親会社の2階層が主流になっていくと考えられます。
既に基幹システムにおいても、2階層ERPを導入する企業グループが多く見られます。
その考え方を過去の戦争に例えると、これまでは戦艦を中心とした連合艦隊同士による決戦型思想であったのに対して、これからは戦闘機と航空母艦を組合せた機動力でピンポイントに目的を達成する戦略・戦術的思想へルール変更するようなものです。
圧倒的に後者の方が、コストも効率も高く柔軟性があります。話を戻すと、次世代ERPは、2階層ERPとなり事業用ERPは目的や用途ごとに見合った業種特化型ERPやクラウドERPなどを適材適所で使い分ける方が合理的です。親会社用ERPは、コアERPとしてグローバル対応した信頼性と安定性の高いERPを踏襲するでしょう。

ERPを補完するツール、AI人工知能やRPAに対する期待

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企業のビジネスインフラとしてERPシステムが重要な役割を果たしていることは言うまでもありませんが、ERPの費用対効果は正直低く昨今では維持コストやバージョンアップ、ERPベンダからの保守料値上げなどが問題をさらに深刻にしています。

これはERPシステムのサポートと利用に膨大な手間とコストが掛かることによるものです。ERPの保守運用のなかでも、マスタの整備や日々のデータ入力、各種レポートの作成などはERPシステムの扱いに慣れたオペレーターや事務社員に頼っています。
昨今、こうした事務社員の確保が難しいことや、長時間労働が問題となりさらに残業による人件費アップによるコスト増が大きな問題となっています。今後もこの傾向が続くと予想されていますので、その対策は喫緊の課題だと言えるでしょう。

これを解決する手段として最近注目されつつあるのが、AI人工知能を組み込んだERPシステムや、ERPシステムなどの繰り返し作業を自働化してくれるRPA(ロボティクス・プロセス・アートメーション)といったツールです。RPAについては、2016年にRPAテクノロジーズが発起人となって設立された、「日本RPA協会」(http://rpa-japan.com/)がこうした課題に積極的に取り組んでいます。
RPAの活用例をご紹介すると、マスタの更新やシステム入力作業の自働化、用途や顧客ごとに異なるレポートの作成などが可能です。用途や自働化が可能な作業については、現在さまざまな検証や機能開発に取り組んでいて今後急激に普及していくことが予想されます。
RPA利用のメリットは、現行のERPシステムをそのまま改変することなく、これを組合せた利用が可能なことです。これによって、作業負荷の高い業務や急激に成長して人での確保が厳しい業務から逐次導入するといった使い方が可能です。これまでERPシステムを改変して自働化するのではなく、エクセルのマクロのように簡単に連携出来るツールです。現状ではまだ対応レベルは高くありませんが、将来はAI人工知能によって高度な作業にも対応していくと期待されています。

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次回の内容

今回は次世代ERPが親会社の「コアERP」とグループ会社(子会社・関連会社)の「事業用ERP」の2階層型へその構成が変わっていくことをご紹介しました。次回は、次世代ERPの機能要件についてもう少し具体的にご説明いたします。

以上

このコラムについて

ビジネスコンサルタント 吉政忠志氏(吉政創成株式会社)より

鍋野敬一郎氏の「ERP再生計画」第3回:次世代ERPに求められる構成とERPを補完する最新ソリューションはいかがでしたでしょうか?

今回のコラムで触れられているAI(人工知能)については双日システムズ 小北本部長の2017年年度方針のご挨拶でも触れられています。2017年度には双日システムズの月額料金ERP「Sojitz-Sys商社ERP ver.1.0 by GRANDIT」と「Sojitz-Sys IT企業ERP ver.1.0 by GRANDIT」も対応を始めるということだと思います。

小北本部長の2017年度方針については以下のページをご覧ください。

https://www.sojitz-sys.com/solution_service/grandit/

AI(人工知能)についてはERPに限らずあらゆるところで使用されていますよね。おそらくもう数年もすれば導入するのは当たり前の時代が来ると思います。無責任なことは言えませんが、この手の王道となる技術はなくなることが当面ないため、早めに検討と対応を始めノウハウを貯めていくべきと思います。

話は変わりますがERPに強い双日システムズは、月額料金ERP「Sojitz-Sys商社ERP ver.1.0 by GRANDIT」と「Sojitz-Sys IT企業ERP ver.1.0 by GRANDIT」を展開しています。興味がある方は以下もご覧ください。10社の導入事例も公開されており参考になると思います。

■双日システムズのERPソリューション
https://www.sojitz-sys.com/solution_service/grandit/

鍋野敬一郎 プロフィール

nabeno_profile003株式会社フロンティアワン代表取締役

1989年 同志社大学工学部化学工学科(生化学研究室)卒業
1989年 米国大手総合化学会社デュポン社の日本法人へ入社。
農業用製品事業部に所属し事業部の営業、マーケティング、広報を担当。
1998年 ERPベンダー最大手SAP社の日本法人SAPジャパンに転職し、マーケティング、広報、プリセールスコンサルタントを経験。その後、アライアンス本部にて戦略担当マネージャーとしてSAP Business All-in-One(ERP導入テンプレート)の立ち上げを行った。
2003年 SAPジャパンを退社しコンサルタントとして業務コンサルティングおよびERP/SCMなど基幹系システムなどの導入支援・提案活動に従事。
2005年 独立し株式会社フロンティアワン設立。ITベンダのERP/SCM、クラウドなどソリューションの企画開発支援、ユーザー企業のシステム導入支援など業務アプリケーションに関わるビジネスを行う。2015年より一般社団法人インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)のサポート会員として活動(パブリシティ委員会委員エバンジェリスト)

※2014年に解散したERP研究推進フォーラムの研修委員および講師

>> 第四回「次世代ERPのニーズを洗い出すと5つの要件が見えてくる」

<< 第二回「旧型ERPの課題を洗い出してERPを刷新する必要性」

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