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コラム「ERP再生計画」第一回「ERPはもう古い?ERPの歴史と現状からIoT時代の次世代ERPを考える」 著:鍋野敬一郎

はじめに

 「いまどきERPシステムですか?」とか言われてしまいそうですが、ERPシステムは既にビジネスには必要不可欠な存在です。1990年代にERPシステムが登場するまでは、企業システムは、会計、販売、生産、購買とそれぞれバラバラに作られていました。

今でもそういうシステムを使っている企業もありますが、その仕組みだとシステム間のマスタがバラバラで部門横断に情報収集しようとすると不整合やデータのヌケが多くてその調整が大変です。経営に必要な情報を入手するには、それなりの手間と時間が必要となります。

こうした課題を一掃したのが、ERPシステム(統合基幹業務システム)です。日本国内では、1992年にERP老舗のSAPジャパンが設立されたところから国内ERPの歴史が始まります。そして、2000年問題を経て2004年に国産ERPの『GRANDIT』などが登場、あれから10年余が経ちました。


国内ERPの歴史は既に25年四半世紀以上となり、ERPシステムを導入して10年以上になる企業も多くそろそろ次世代基幹システム導入に向けた動きが出てきています。
こうした状況を踏まえて、いまこそ「ERP再生計画」について考えてみようと思います。
次世代ERPを考察するというテーマで、しばし連載コラムにおつきあいください。

国内ERPの歴史をふりかえる

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 日本国内でERPシステムが登場したのは、1992年秋にERP老舗のドイツSAP社の日本支社が設立されたところからになります。実際には、外資系企業や医薬品メーカーなどが国内でも既にERPシステムを導入していましたが限定的でした。

このERPシステムですが、これまで基幹システムと言えば「スクラッチ開発」という考え方を「パッケージ」に塗り変えたこと。そして、システム開発の主役がプログラマーからコンサルタントへ変わったこと。
この2つの変化を起こしたという点で大きな存在と言って良いでしょう。

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 1990年台前半に登場したERPですが、そのコンセプトはシンプルです。企業のなかで部門ごとにバラバラになっていた情報を1つに統合して、全社で同じ情報を共有するというコンセプトです。
経営資源である「ヒト、モノ、カネ」の情報を一元管理して、全ての整合を取れば経営判断に必要な情報を即時入手できるというものです。

"ERP"とは、製造業のMRP(資材所要量計画:Materials Requirements Planning)、MRP2(製造資源計画:Manufacturing Resource Planning)から作られた造語だと言われています。20年以上経った現在でも、このコンセプトを実現できている企業は多くありませんが、これまで良く分からなかったシステムについて、経営者や事業部長など管理職に分かりやすく説明できるという点で幅広く受け入れられました。
経営者は基幹システムが経営管理に有効だと言うことは認識していましたが、その開発投資費用や長い導入期間については不満がありました。

2000年問題が顕在化するなか、現行システムの膨大な改修よりもERPシステム(ERPパッケージソフトウェア)を導入してその代替手段とするという考え方が大手企業に受け入れられました。また、欧米企業のビジネスモデルが組み込まれているベストプラクティスという機能群や、その導入事例も魅力的に見えました。これが日本国内におけるERP普及の理由と言えます。

関係者として正直に白状すると、ベストプラクティスというのは幻想です。本当のところ欧米大手企業の業務プロセスの標準モデルがあるという程度です。欧米大手企業というところがミソで、「わからないけど凄いモノ」と錯覚させたところが外資系の技でした。

結局、2000年代になって国産ERPが登場し、完成度としては国産ERPの方が高くて日本の商習慣にもバッチリ対応していたというオチが付きます。優れていたのはERPシステムという製品のコンセプトに含まれていた「統合マスタ、統合データベース、データの自動収集」の3つの考え方だと言えるでしょう。

IoT時代に求められる次世代ERPへの期待とは

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 日本にERPシステムが登場して、既に四半世紀が経ちました。さすがにこれだけ時間が経てば、ビジネス環境もIT技術も大きく変化しています。もしまだこの時代に導入したERPを使っている企業があるならば、さすがに昨今の市場の変化に対応するのが厳しくなってきているのではないでしょうか。

AI人工知能、ビッグデータ、クラウド、モバイル、そしてIoT(モノのインターネット)やロボット、AR/VR(拡張現実/仮想現実)などビジネスとシステムを取り巻く技術は過渡期にあると言えるでしょう。
IT業界では、基幹系システムなどこれまでのシステムをSoR(System of Record:実績収集など記録するための仕組み)と呼び、IoTなどを使って顧客やパートナーへサービスを提供する仕組みをSoE(System of Engagement:顧客・パートナーとのつながりを通じて価値を提供する仕組み)と呼ぶようになっています。
このSoRSoEの2つを合わせて、デジタルビジネスプラットフォームと言います。

欧米企業では、デジタル化(デジタライゼーション、デジタルビジネス・トランスフォーメーション)というのがビジネスのテーマとして注目されていて、これまで人が知識や経験として蓄積されたノウハウをデジタル化してこれをセンサで数値化、そのデータをソフトウェアに読み込ませてその結果をサービス提供してお金を稼ぐというビジネスモデルに注目が集まっています。

例えば、ゼネラル・エレクトリック(GE)社では、自社が開発製造した航空機エンジンに300個以上のセンサを取り付けて、このセンサからデータを収集することが出来ます。このリアルタイムに収集した膨大なセンサのデータを解析して、このエンジンを利用している旅客運輸会社へ燃料消費を少なくする航路や安全運行のサービスを有償で提供しています。
建設機械大手のコマツでは、最新のパワーショベルにセンサやGPS(全地球測位システム)、カメラなどを搭載して、建機を操縦するオペレータの支援を行っています。この仕組みを利用することで、研修を受けたばかりの新人オペレータでも、経験者と同じレベルの作業を効率良く行うことができます。これを情報家施工技術と言います。
コマツは、この技術で業界トップの技術力と収益力を実現しているのです。こうした仕組みは、いずれもIoT技術を活用していて既存のERPシステムと連携しています。

つまり、25年前に登場したERPシステムは、大きな時代の変革を迎えて新しいニーズに対応した次世代ERPシステムへと進化が求められていると考えることができます。

次回の内容

 今回は初回ということで、ERPの歴史と現状について整理してみました。次回は、現状の課題について考えてみたいと思います。

以上

このコラムについて

ビジネスコンサルタント 吉政忠志氏(吉政創成株式会社)より

鍋野敬一郎氏の「ERP再生計画」第1回「ERPはもう古い?ERPの歴史と現状からIoT時代の次世代ERPを考える」はいかがでしたでしょうか?このコラムを読まれる方は、鍋野敬一郎氏のコラムのご案内や検索エンジンで閲覧をされた方が多いかと思います。
鍋野氏は業界でも有名な方でファンの方も多くいると思います。 このコラムを提供している双日システムズは、「GRANDIT」立ち上げより開発に参画し、商社系・IT企業系の標準機能強化にも貢献してきたERPに強いソリューションプロバイダーです。
その双日システムズが以前から要望が高かったGRANDITのサブスクリプションモデルを商社向けとIT企業向けに2017年2月にリリースしました。その「GRANDIT」としては初になる、「Sojitz-Sys商社ERP ver.1.0 by GRANDIT」と「Sojitz-Sys IT企業ERP ver.1.0 by GRANDIT」のリリースにあたって、ご縁もありコラム執筆のご協力を頂くに至りました。
鍋野氏の次号のコラムも是非ご期待ください。 そして、「Sojitz-Sys商社ERP ver.1.0 by GRANDIT」と「Sojitz-Sys IT企業ERP ver.1.0 by GRANDIT」に興味がある方は以下のページもご覧ください。現在、約10社の事例も公開しております。

■双日システムズのERPソリューション
https://www.sojitz-sys.com/solution_service/grandit/

鍋野敬一郎 プロフィール

nabeno_profile01株式会社フロンティアワン代表取締役

1989年 同志社大学工学部化学工学科(生化学研究室)卒業
1989年 米国大手総合化学会社デュポン社の日本法人へ入社。
農業用製品事業部に所属し事業部の営業、マーケティング、広報を担当。
1998年 ERPベンダー最大手SAP社の日本法人SAPジャパンに転職し、マーケティング、広報、プリセールスコンサルタントを経験。その後、アライアンス本部にて戦略担当マネージャーとしてSAP Business All-in-One(ERP導入テンプレート)の立ち上げを行った。
2003年 SAPジャパンを退社しコンサルタントとして業務コンサルティングおよびERP/SCMなど基幹系システムなどの導入支援・提案活動に従事。
2005年 独立し株式会社フロンティアワン設立。ITベンダのERP/SCM、クラウドなどソリューションの企画開発支援、ユーザー企業のシステム導入支援など業務アプリケーションに関わるビジネスを行う。2015年より一般社団法人インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)のサポート会員として活動(パブリシティ委員会委員エバンジェリスト)

※2014年に解散したERP研究推進フォーラムの研修委員および講師

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